■雪にまつわる人
積雪がめったにない関東では10cmも積もると
街はパニックになるという。
飛騨の人にとって10cmくらいの積雪は
べつに驚くようなことではないが、
ぎゃくにこれだけ雪が少ないと、
「なにかよからぬ天変地異ががおきるのでは?」と
心配してしまうのだ。
雪国では春の雪解け水を雪しろとよぶが、
雪しろに洗われたあまご(渓流魚)は気品に満ち、
あかの斑点は宝石のように美しく輝く。
雪しろはやがて下流のダムをみたし、
わたしたちの生活水をうるおしてくれるが、
これだけ雪がすくないと水不足が心配になってくる。
雪はなにも生活水だけでなく
多額の金をかけ融雪器具を取り付けた人や
雪またじのための道具を売る人、
自前のダンプで雪またじを請け負う人など、
さまざまな人の暮らしに影響を与えている。
そうした半面、年間何億という除雪費用が浮かせたいう朗報もあり、
それを経済対策へと回せるのなら、
この時代、雪不足もよしとしなければならない。
写真/里山の心配をよそに、積雪で覆われる北アルプス