飛騨の細道 171-「ネーミングと印象 」


■ネーミングと印象

店名は耳で感じ、目で味わう。
それには文字の響きや綴りの善し悪しが決め手となる。

篇やつくりなど、文字の形や読みを意識すれば、
いっとき流行った当て字のスナック名になり、茶蓮路と書いてチャレンジとか、
ライムライトを来夢来人などと書いていた頃がなつかしい。

それがいまでは子どもの名前の方が、その一枚も二枚も上をいき、
妃来利と書いてヒラリ、多生人と書いてタフトと読むなど、
なんとも珍奇な名前が誕生している。

この店の場合、店名が一枚板の看板とガス灯に表記されているが、
中国の故事にある画龍点晴のごとく、
看板が店を引き立てている好例である。
こうした実例は観光客が多い通りほど意識が高く、
店舗設計や視覚デザインにウエイトを置く店が増えた。

このお店はそのハシリともいえるが、
立地は観光地の中でも激戦区の上三之町。
下隣りに「手風琴」そのまた下隣りには「かつて」と、
面白い名前の喫茶店が続く。

店にはそれぞれちがう個性があって、
それが連なることで、通りは素敵な空気を孕む。