■さまがわりする24日市
ときおり吹く雪まじりの突風に首をすくめながら、人がうごめいている。
みるとしょい籠を背負っている人や
手に真新しいざるを持っている人はほんのわずかで、
この市へ訪れる多くの人の手は食べ物でふさがっていた。
いぜんの24日市は、手作りの生活民具を買い求める近隣のひとたちで、
通りはあふれていたと聞く。
時代は大きくさまがわりをし、
竹で編んだしょうけ(ざる)やあじか、
わらで作ったばんどりなどの民具を使う人は少なくなった。
たまに欲しいと思う人がいても、
地元産は値段が高くて手がでない。
やがて24日市は商店街のバザーと化し、
香具師や近在の食べ物屋のテントで埋め尽くされてしまった。
そんななか、かつての24日市を彷佛させる生活民具の職人たちが、
ほんのわずかだが、わらを編み、竹や木を削るなどの実演をやっていた。
その様子を興味深く見ていたおばあさんが
「昔はね、これを背中につけてね……」などと熱く語っているのだが、
孫はとなりの食べ物屋に興味があるようだった。
写真左上/ざるを編む職人
写真右上/久々野の有道しゃもじ
写真左下/江名子ばんどりを編む職人
写真右下/そまびとが出店した鹿(はく製)