飛騨の細道 74-「心の体脂肪を薄くする」


■心の体脂肪を薄くする

日本人はキリスト教で結婚式をあげ、お正月には神社へ初詣にでかける。
かと思えば葬式は仏教であげるなど、
宗教に関して実に節操がなく、宗教心を持たない国民だといわれるが、
はたしてそうだろうか。

今でも田舎へいけばお年寄りは「お天道さまに申し訳ない」とか、
「米をひと粒たりとも無駄にしたら罰があたるでな」などと口にし、
自然に対して賛嘆(さんたん)や畏敬(いけい)の念を抱く。
たとえば山道には道祖神や地蔵様が祀られ、
花や供え物をし、樹齢何千年という巨木は神として、
わたしたちは崇めらる。

科学が発達し、昔から神は一つなんだというヨーロッパからみたら、
日本の信仰は神も仏もゴチャゴチャなうえに
精霊崇拝を行う宗教的発展途上国だという。
しかし、最近になってそんな日本の禅思想が、
世界を救う光として世界から注目を浴びてるというのだから
おもしろい。

禅の一番基本的な言葉といえば「本来無一物」。
これは心のなかに何物も置かず心を空っぽにすることを意味する。
人間は自我心や自意識、自分の論理などを主張するから衝突を起こし、
争いが起こる。だから、心にそうしたものがなければ、
争いを起こす根本すらなくなるというわけだ。

ためしに主要先進国が集まった核サミットで、
各国の首脳陣に坐禅をしてもらうというのはどうだろうか。