飛騨の細道 76-「食公害」


■食公害

その土地で生産されたものを、その土地で食す。
地産地消が口にされたから久しいが、
あれよあれよいうまに高山の町は
飛騨牛一色に染まり切ってしまった。

列挙すれば飛騨牛の串焼きにはじまり、
牛たこや飛騨牛の肉マン。そして飛騨牛のにぎり寿司。
さらには最近では大阪から出店してきた、
飛騨牛コロッケなるものまでお目見えした。

今では元祖テイクアウトの「みだらしだんご」を追いこす勢いで、
町のいたるところで、飛騨牛の文字を見ることができる。
ところが飛騨牛○○の店はおしなべて、すべてが派手で、
実物の写真や価格、そして売り文句などが店頭を飾り、
その様子はスーパーの特売日となんら変わりない。

飛騨の人はむかしから控えめなのだが、
いつの頃から高山の町はこんなにも騒がしく、
乱雑になってしまったのか。

こうなると有名になることも手放しで喜べなくなる。