■松のある風景
バラの美しさもさることながら、
松のあまりの元気のよさが気になり、
足をとめてしまう風景にであった。
個人の敷地には境界線というものがあるが、
そこからニョキニョキと公の空間へ、
これほどまでに侵入してしまった植生物は
どういう扱いになるんだろう。
さすがにお向かいの家先に届いてしまえば(来年にはきっとそうなる)
剪定するだろううが、それまでは自由奔放のようで、
子育てもこうありたいものだ。
この通りは堀端町から城山の二の丸公園と続くところで、
道幅は狭く、傾斜もきつい。
とうじの城があったという面影は堀りだけだが、
なんとなく風情のある町で、しっとりとしている。
そんな町のしもた屋風の木造の家のまえには、
季節になると目を楽しませる赤いバラが咲き、
「我関せず」といった元気のいい松ががんばっている。
となれば境界線うんぬんをいうのはこの際、野暮というものである。