飛騨の細道 107-「飛騨だって進んでいる」


■飛騨だって進んでいる

「電線に雀が三羽停まっていた〜♪それを猟師が鉄砲で打ってさ」
ひと昔、一世を風靡した電線音頭。
それから数十年が経ち、鳥たちが停まる電線には
光ファイバケーブルが走る。

暮らしぶりがあれよあれよと変わりだすと、
インターネットを使った新たな商売が雨後の筍のように登場し、
ひと昔前には考えられなかったような色々な仕組みが、
水面下でしのぎを削る。

水面下だから一般には変化が見えなくて、
いきなり水面に上がってきてから
「えっ、もうこうなってんだ!」と私たちは驚き、
「来年には現在使用のTVは一切使えなくなりますのでご注意を!」
なんていうような、黒い帯が走り、
お年寄りにとっては青天霹靂みたいなことが公然と起きてくる。

ところで『情報を大量に、なおかつ遠くまで瞬時に送れる』という
メリットを生かした新たなビジネスが高山の某印刷会社で数年前に立ち上り、
軌道に乗っているのだが、どちらかと言えばこれも水面下なため、
一般の人が知るところではない。

この業務、名付けて『画像加工処理海外外注システム
(わたしが勝手に命名した)』。
内容は日本各地から集められてデジタル写真を整理し、
カンボジアへ一括して送る。送られたデジタル写真を、
カンボジアのオペレータがキリヌキ処理を施し、
翌日、また発信元の高山へ送り返すという仕組みだ。

『高山とカンボジアが光ファイバケーブルで結ばれ、
膨大な画像データーが毎日、行き交いし、それがビジネスになっている』と
いう事実は考えてみれば凄いことなのだが、現実感がなくピンとこない。

むしろ『高山で採れたあずき菜を毎日ばばさまが袋詰にし、
五百袋ばかり海外へ送っている』と言われた方が現実味があって、
人は「凄〜い」と思ってしまうものだ。