飛騨の細道 145-「小さな橋のある暮らし○その1」


■小さな橋のある暮らし○その1

大小あわせて18本の小さな橋がかかる江名子川界隈には
人間さま専用の小さな木の橋が3本ある。

いずれの橋も、幅わずか2mにも満たない華奢な橋だが、
川と人が寄り添って暮らす温もりが
足裏で感じられるほどだ。

鉄砲橋のたもとで住まいを構える田中さんが言うには、
「江名子川の橋は美しさを保つため、
欄干までの高さを80cm前後に統一している」とのこと。

後日、メジャーを持って18本の橋の欄干をすべてを計ってみた。
最小は葵橋の70cm。最高が古柳橋の90cmと
16本の橋はいずれも90cm以内に収まっていた。
(交通量が多い2本の橋は構造が異なるため、排除)

目線を橋の欄干から界隈へ移してみれば、
そこには手入れをした草花が路地に咲き、
橋のたもとで立ち話をしているそばを
犬があくびをして空を見上げていた。

観光という光を浴びることがない江名子川界隈だが、
ここの人たちは家に住むというより、
町に住んでいるような感じがしてならない。