飛騨の細道 165-「ここにも円空さんが」


■ここにも円空さんが

東京は上野の森。東京国立博物館ではいま、
「飛騨の円空 千光寺とその周辺の足跡」と題した
特別展が開催されている。

聞くところによると円空上人は生涯をかけ、
12万体の仏を彫ることを祈願したというが、
300年たった現在でも日本各地に円空像は点在し、
岐阜県には1,700体近くが残っている。

村人たちや子どもに愛された円空像は、
こうしたコンクリートの所蔵庫に大切におさまっているより、
田地の横のお堂にひっそりと祀られている方がお似合いである。

小さい頃、親しみある円空像を真似て作ったことがある。
本物でも稚拙な像もあって、自分で作ったものが、
本物のように見えてくるのがうれしかった。

円空像のニセモノはこの世に五万とあるだろうが、
本物か否かというより、円空像のようなものがそこにいるだけで、
ふっと安心させてしまう力が凄い。

写真の円空像、なんと銭湯のボイラー室の一角に鎮座していた。
釜じいさん曰く、「これはまっかなニセモノ」と言っていたが、
お風呂も円空さんも、どちらもほのぼの、そしてほっこり。


写真/左端に鎮座しているのが円空像