飛騨の細道 169-「祭りを存続する」


■祭りを存続する

鳳凰台の法被をまとい、笛を手にしている女性は
高山祭の屋台に欠くことができない、
お囃子のひとりである。

彼女のお母さんが子どもだった頃は
屋台は女人禁制だったというが、
彼女の代になると神事ごとはそこまで厳しくなくなった。
(男の子が少なくなったせいもある)

屋台は全体のデザインや細部のデザインはもちろんだが、
お囃子ができる子どもがいるところは、
華やかで元気があって賑わしい。

春の屋台は12台。お囃子のメロディーは5つほどに分けられ、
彼女がのる屋台のようにお囃子の人足がいるところは生演奏、
いない屋台組はカセットでまかなう。

むかしは午後から学校が休みになり、
帰るといの一番に屋台に乗る屋台キチの坊主がいた。
それがやがてオヤジになり、
その姿を見て育った子どもがお囃子の人足になる。
考えてみれば、祭りはむかしから循環システムで支えられているのだ。


写真/笛をもつ手は柳の木のようにしなやかで美しい