飛騨の細道 172-「緑に染まって」


■緑に染まって

県が推奨する「岐阜の宝もの」。
その第1号に認定されたのが下呂市小坂町の「小坂の滝」。
御岳山を源流とする豊富な水脈が、
5万4千年の溶岩が形作った急峻な地形の中を流れる様はじつに壮大である。
高低差、水量、そして地形、まわりの景観など、
変化に富んだ美しい滝が200以上あるという、滝の宝庫である。

それと比較すると高山の国府宇津江四十八滝は、
高低差も水量も少なく、ダイナミックさには欠けるが、
その分繊細な美しさを漂わせている。

風薫る五月ということばがあるが、
飛騨の山々は今、新緑が陽に輝き、
どこもかしこも活き活きとして美しい。
心地よい水しぶきと滝の音に惹かれ、
この時期、宇津江四十八滝を訪れる人が多い。

四十八滝の滝めぐりは歴史も古く、
50年以上も前に来たことがあるが、当時も人気があった。
駐車場やレストラン、キャンプ場なども充実。
さらに大さんしょう魚もいるが、
専用の池の石陰にいつも隠れて、いまだかって見たことがない。
(本当にいるのだろうか)

訪れる人の中には高齢の方が多く、
車から降りて簡単に森の中を歩けるのが人気のようだ。
最近になって石畳の遊歩道が整備されている。

四十八も滝があっては登るのが大変!と思われる方、
実際は13本しかない。
(法蔵菩薩さまが仏になるために、
四十八の願いを立てたあることからきている)
一番上の滝まででも30分ほどで行けるが、
三本目にある平滝は後ろにある二本の滝まで一緒に見られる。
ほかの10本の滝には申し訳ないが、ここだけでも十分48滝は楽しめる。


写真/上から三つ目の写真の滝が平滝。